Interview 01
圧倒的な症例数と指導力で、
次代の心臓血管外科医を育てる

教授

岡本 一真
Okamoto Kazuma

Q1 心臓血管外科の魅力とは

今なお進化し続ける、
命の最前線

心臓血管外科の魅力は、何よりも命に直結する臓器を扱うことにあります。多くの医学生が「人の命を助けたい」と思って医師を志すと思いますが、その思いを最もダイレクトに実感できる分野の一つが心臓血管外科です。心臓の手術では人工心肺を用いて一時的に心臓を止め、全身の循環を維持しながら治療を行います。こうした高度な技術を駆使して、患者さんの命と真正面から向き合うところに、この診療科ならではの特別さがあります。

また、心臓血管外科は今なお進化を続ける分野でもあります。低侵襲手術、カテーテル治療、ロボット支援手術など、新しい技術が次々と現れ、数年単位で景色が変わっていく。難しさはありますが、だからこそ一生をかけて挑む価値がある。こうした背景からかドラマの主人公に選ばれることも多い心臓外科医ですが、「かっこいい」と心から思える仕事に就くことは、長い医師人生において大切なことだと私は思っています。

Q2 これまでのキャリア

世界を渡り歩いて
積み上げた技と経験

実は、私はもともと建築を志して東京の国立大学に進学しましたが、周囲の才能に圧倒され「自分には別の道がある」と直感して他大学の医学部に入り直した経歴があります。医学生時代にはラグビーに打ち込み、6年生の夏には中南米を巡って現地の医療に触れる経験もしました。この体験は、自分が将来どんな医師になりたいのかを考える大きなきっかけになったと思います。

卒業後は外科に進み、救急の現場で多くの重症患者さんに向き合う中で、本当に助けたい命に最も近い場所が心臓血管外科だと感じるようになりました。医師4年目で専門を心臓外科に定め、その後は基礎研究に取り組みながら、ベルギー、イタリア、タイへ留学し、低侵襲心臓手術や冠動脈バイパス術などを学びました。帰国後は大学病院や民間病院、近畿大学で手術・教育・診療体制の整備に携わり、2024年11月に浜松医科大学へ赴任しました。このように、より多くの手術経験とより良い育成環境を一貫して求めてきましたが、その経験が今の指導体制に生きています。

Q3 当科の指導方針

理論と実践の両輪で、
心臓血管外科のプロを育てる

当科が目指しているのは、地域の心臓血管外科医療の質を確実に高めることです。低侵襲手術やステントグラフト、TAVIなどの先進的な治療を、単に導入するだけでなく、安全性と再現性を担保した上で地域に届けていく。そのためには、手術手技だけでなく、術前評価、チーム体制、術後管理まで含めた総合的なシステムづくりが欠かせません。

同時に、大学病院として最も重要なのは若手を育てる仕組みを確立することだと考えています。私はこれまで、若手外科医の育成に関わる活動や教科書の執筆、トレーニング教材の開発にも携わってきました。手術は数をこなせばよいわけではなく、理論、判断、医師としての振る舞い、チームワークまで含めて学ぶ必要があります。当科では、症例を積み重ねる機会を確保しながら、なぜそうするのかを丁寧に言語化して伝える指導を重視しています。経験と理論の両輪で育てることが、私の基本方針です。

Q4 若手医師に期待すること

恵まれたフィールドで、
次世代の主役を目指そう

若手医師に期待するのは、まず難しそうだからと最初から距離を置かないことです。心臓血管外科は確かに簡単な分野ではありませんし、一人前になるまでには時間もかかります。しかし、だからこそ挑戦する価値があります。数年という時間をかけて磨いた技術は、その後の数十年の資産になります。そのプロセスを楽しめる方と共に働きたいと考えています。当科では、若手に実際の手術経験を積んでもらうことを重視しています。手術は見ているだけでは上達しません。一方で、ただ任せるだけでも育たない。どうすればうまくできるのか、どこでつまずいているのかを具体的に言葉で伝え、改善につなげていくことが重要です。

静岡県は人口規模に対して高度医療が集約されやすく、症例を経験しやすい恵まれた環境があります。このアドバンテージを生かし、5年、10年後には浜松に巨大な心臓大血管センターを確立したいと考えています。その未来を一緒に創り上げ、次世代の主役を担ってくれる情熱を持った若者を求めています。
Message 心臓血管外科医を目指す方へ

好きだと思える道が、特別な挑戦になる

心臓血管外科は大変そう、難しそう、自分にできるだろうか――そう感じる人は多いと思います。ただ、医師という仕事はどの分野に進んでも責任が重く、決して楽ではありません。だからこそ、自分が本当に好きだと思える道、かっこいいと思える道を選んでほしい。それがあなただけの特別な挑戦になります。

今なお大きく進化し続けている心臓血管外科という分野で次に中心に立つのは、これからこの世界に入る皆さんです。ぜひ、浜松医大心臓血管外科を舞台に、その大いなる挑戦を始めてほしいと願っています。
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